「怪談のテープ起こし」三津田信三著

公開日: 更新日:

 作家の「僕」が編集者時代、「ホラージャパネスク叢書」というシリーズものを手掛けたことがあった。その一冊として、自殺の名所について考察した書籍を企画したが、なかなか進まない。

 そんな中、ある作家からライターの吉柳が同じような企画を温めていると耳にする。会って話を聞くと、吉柳は「これから死のうという人間の肉声」をまとめて、一冊の本にするつもりだという。吉柳は、自殺者が死の間際に家族や社会に向けてメッセージを吹き込んだカセットテープを10年前から集めており、それを原稿に起こすつもりだという。数カ月後、僕の依頼に応じた吉柳から3人分のテープを起こしたサンプル原稿が送られてくる。(「死人のテープ起こし」)

 現実と創作が交錯する戦慄のホラー短編集。

 (集英社 670円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に