「ようこそ、バー・ピノッキオへ」はらだみずき著
その後、一度はバーの世界を離れるが、定年を迎え妻が亡くなって、店を開くことを決意する。それがこのバー・ピノッキオだ。
閉店後、一人マルガリータを作って、亡き妻、娘、靖男に捧げるのがマスターの日課となっていた……。
【読みどころ】そんな過去をマスターは客に一切語らないが、どことなく愁いを含んだマスターを相手に客たちは問わず語りをしていく。別れた恋人のこと、高校時代の友達への裏切り、売れない小説を書き続けていること……。そして傍らにはその話に合ったカクテルが置かれている。 <石>
(幻冬舎600円+税)