高齢でも体が不自由でも楽しめる温泉宿ガイド
たまには両親を温泉にでも連れて行ってやりたいが、ふたりともめっきり年を取り、足腰も弱ってきた。家での入浴すら介助が必要で、旅行はとても無理か……。
そう諦めていた人にお薦めしたいのが、山崎まゆみ著「さあ、バリアフリー温泉旅行に出かけよう!」(河出書房新社 1350円+税)である。日本は言わずと知れた長寿大国。高齢者でも安心な、ユニバーサルツーリズムやホテル・旅館のバリアフリー化はどんどん進んでいる。本書では、車椅子でも楽しめる温泉旅館や旅の準備の進め方などを徹底解説する。
まずは、行きたい温泉旅館を決めよう。NPO法人日本バリアフリー観光推進機構が提供するポータルサイト「全国バリアフリー旅行情報」や、内閣府バリアフリー関連情報「ぷらっとホーム」などのサイトで、最新の宿泊施設情報が入手できる。旅館が決まったら、電話をかけて詳細な施設情報を入手しておきたい。例えば、バリアフリー温泉旅館で脱衣室や廊下などの壁の右側に手すりが設置されていても、右半身が麻痺(まひ)している人にとっては役に立たない。また、車椅子のサイズにはコンパクトからワイドまであり、館内のエレベーターの幅が車椅子のサイズぎりぎりだと、介助の家族が乗るスペースがないということも起こり得る。本書には、エントランスから客室までの動線や湯船まわりの形状、ユニバーサルデザインの食器はあるかなど、旅館に確認すべき項目も整理されている。
ヘルパーによる入浴介助サービスのある旅館や、出発の段階から同行してくれる外出支援専門員「トラベルヘルパー」についても紹介。いくつになっても温泉や旅行を諦める必要はないのだ。