「『盛り』の誕生」久保友香著

公開日: 更新日:

「日本人の美意識を解明したい」と考えた研究者が、女の子の間で流行する「盛り」と呼ばれる現象に着目。プリクラ、つけまつげ、インスタグラムなど、さまざまなテクノロジーを駆使して、現実とは違うビジュアルを盛ってメディアで公開する技術を「シンデレラテクノロジー」と名付け、女子の間に起こった「盛り」現象を追いかけた。

 本書は、「盛り」がどのように始まりどのように広がっていったのか、誕生から今に至るまでの変遷を明らかにしていく。

 たとえば、当初本人をそのまま映す装置でしかなかったプリクラ機。画像処理技術の向上が、デカ目という現実離れした顔をつくり出し、仲間内のビジュアルコミュニケーションツールとして独自の発展を遂げた。著者は当事者にインタビューするなかで、仲間内の共通言語であるビジュアルツールを駆使して相対的な自分らしさを追求する女子の美意識を発見していく。なおブームの移り変わりは早く、今はデカ目や自撮りブームは去り、自然体の自分を他人に撮影してもらう「他撮り」の時代に突入。なので、撮影上手な男子の人気が急上昇中だとか。

(太田出版 2400円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…