「だれかに話したくなるあやしい植物図鑑」 菅原久夫監修 白井匠、クリハラタカシ絵

公開日: 更新日:

 自分たちが地球上の生き物で一番賢く、一番強いと思い込んでいる人間は、身の回りの植物に、ついつい上から目線になりがちだ。しかし、実は地球を牛耳っている陰の黒幕は、地球を覆う植物だという。

 そもそも生き物の呼吸に必要な酸素は植物がつくり出しており、すべての生き物を養っているのが植物なのだ。

 本書は、そんな植物の中でも特に不思議な見た目や生態を持つ「なんだかよく分からない」あやしい植物たちを紹介しながら、植物のすごさを伝えるイラスト面白図鑑。

 百獣の王ライオンをも負かすその名も「ライオンゴロシ」は、南アフリカに分布するゴマ科の植物。成長すると直径10~15センチほどの硬いとげを持つ実を地面にばらまく。とげには釣り針のような「かえし」があり、これを踏んだライオンは、とげが歩くほどに深く刺さり、口で外そうとすると口の中にもザクザク刺さり、歩くことも食べることもできなくなり、そのまま「ライオンゴロシ」の養分にされてしまうのだとか。

 その他、その実を食べるとのどが腫れ呼吸困難に陥り、枝から滴る水滴にまで毒があるという世界一危険な植物「マンチニール」(南北アメリカの熱帯から西インド諸島に分布=トウダイグサ科)など、まずは「強すぎて、あやしい」植物がずらり。

 続いて南米アマゾンに分布する真っ赤な口紅を塗ったセクシーな唇のような「ソアマウスブッシュ」(アカネ科)など「見た目が、あやしい」をはじめ、「やりすぎて、あやしい」や「意味がわからなくて、あやしい」植物など96種を取り上げる。

 その常識を超えた植物たちの存在に脱帽、街中の植物たちを見る目も変わるかも。面白イラストは子供に受けること間違いなしで、親子で楽しめる図鑑だ。

(ダイヤモンド社 1000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭