「東京の市場さんぽ」柴山ミカ著
石川県の輪島朝市や高知市の日曜市など、各地に地元の人はもちろん観光客にも愛される魅力的な「市」がある。しかし、わざわざ遠方に出かけなくとも東京のさまざまな場所で「市」が立ち、にぎわっているという。本書は、気軽に訪ねることができるそんな東京とその近郊のとっておきの「市」を紹介してくれるガイドブック。
「天王洲ハーバーマーケット」は、2018年に始まった定期市(奇数月第2週の土日)。「食×飾」をテーマに、骨董から雑貨、アクセサリー、古着、植物、そしてフード類まで多彩な出店者が集合。運河沿いの心地よいロケーションが来場者にも出店者にも人気だ。
一方、東京国際フォーラム地上広場で毎月第1・第3日曜日に行われる「大江戸骨董市」は、今や「訪日外国人観光客がまず東京で行きたいところの一つ」といわれるほど人気スポットに育っているという。
足立区の「青井兵和通り商店街朝市」(毎月第4日曜)は、40年以上も続く地元密着型老舗定期市。朝7時の開始前から多くの人が集まり、花火の音を合図にお目当ての店に駆け出すという。
他にも、日本最大級の都市型マルシェ「太陽のマルシェ」(中央区勝どき、毎月第2土日)や浅草で400年続く「お富士さんの植木市」(毎年5・6月の最終土日)などの大規模な市から、西荻窪の老舗フランス料理店が店の軒先で行う小さなものまで東京だけで60市、神奈川・千葉・埼玉を合わせ88市を紹介する。
出店者は、決まった日に現れ、1日が終われば去っていく。次に同じ店、同じ品があるとは限らないのが「市」。外出が心地よい季節、ちょっと早起きをして、そんな一期一会を求め見知らぬ街の「市」に出かけてみるのも一興かも。
(エクスナレッジ 1600円+税)