「宇宙から帰ってきた日本人」稲泉連著
旧ソ連の宇宙飛行士ガガーリンは宇宙から地球を見て「地球は青かった」と言ったが、「天には神はいなかった」という言葉も残している。後に日本人初の宇宙飛行士となった秋山豊寛は、その背後に「無神論コミュニズムのアメリカ・キリスト教文化への挑発的言辞」の意図を読み取った。アメリカの宇宙飛行士は、宇宙に行って「神がそばにいる」と感じたと言わなければ、社会から見放されるからだ。
秋山は1990年にTBSの特派員として旧ソ連の宇宙船ソユーズに乗り、宇宙滞在最後の3時間にようやくのんびり地球を見られて、「地球全体が命の塊」であると感じた。
他に向井千秋ら宇宙に行った12人の日本人が宇宙で感じたことを語る。
(文藝春秋 1650円+税)