「虫への祈り」柏田雄三著
森羅万象に生命が宿ると考え、感謝する伝統のある日本にはさまざまな供養塚があるが、「虫塚」もそのひとつ。古くは害虫の供養から始まり、時を下るにつれさまざまな目的・動機によるものが造られるようになった。
害虫供養を目的とするもので最も古いと考えられるのは東京都八王子市の広園寺の「虫塚」で、1400年ごろの建立だ。
有益昆虫である蜜蜂、蚕を慰霊するものも多数存在する。蜜蜂の石碑は養蜂組合などの団体により、昭和30年代から平成の初めまでにかけて建てられている。
他にもバッタ塚(北海道京極町)、蝉鐘楼(茨城県下妻市)など供養碑から、虫を表す歌碑、虫の名を冠する寺社まで紹介する虫塚紀行。
(創森社 2000円+税)