備蓄だけじゃダメ!災害時の使える自衛術
台風が甚大な被害をもたらした今年の夏は、備蓄に励んだ人も多いことだろう。しかし、水や食料を買い込むだけでは本当の防災にならない。避難する際、あるいは被災した後でどう行動するか、命を守るための知恵を身に付けておくことも不可欠だ。
辻直美著「レスキューナースが教えるプチプラ防災」(扶桑社 1200円+税)では、国内外の被災地派遣を経験してきた著者が、お金をかけずにでき、災害時にはすぐに役立つさまざまな工夫を紹介している。
豪雨の中で避難する際、着替えを入れるリュックやバッグは決して濡らしてはいけない。着の身着のままびしょ濡れで避難して、着替えまで濡れていたのでは、命を脅かす危険な「低体温症」になりかねないためだ。
濡れても乾かせばいいかというと、そうではない。雨や汚水を吸った衣類は、乾かしても生臭いにおいが染みついて使いものにならないことがほとんど。加えて避難所では、濡れた衣類を干す場所の確保すらできないことも少なくないのだ。
対策としては防水スプレーをかけたリュックの中にゴミ袋を2枚重ねて入れ、その中にジッパー袋などで小分けにした衣類を入れるのがお勧め。これは自衛隊も使っているテクニックだという。
このゴミ袋をセットしたリュックは、給水車から水を運んでくるポリタンクの代わりにもなる。
背中に背負うことで、女性でも15リットルぐらいは一度に運べる優れものだ。
食器や本の下に100均の滑り止めシートを敷いて地震の際の飛び出しを防ぐ工夫、500ミリリットルペットボトルの水1本とハッカ油で全身をサッパリさせる衛生術なども紹介。シンプルかつ使える防災の知恵をどれだけ持っているか。それが命を守る鍵になる。