「名医が教える寿命を延ばす恋愛医学」森田豊著
パートナーとの不仲や別れは精神だけでなく肉体すなわち疾病の罹患率や寿命にまで影響を及ぼすことが明らかになってきた。本書では、世界のさまざまな研究・調査から、愛と健康に関する結果を紹介している。
アメリカでは、20秒以上のキスでストレスレベルが劇的に低下するという研究結果が複数出ている。これは、キスによりエンドルフィンやオキシトシンといった快感ホルモンが血中に増加し、ストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが抑制されるためだという。
キスに健康効果があるなら、セックスはどうか。アメリカのニューイングランド研究機構疫学部が、心臓血管系の病歴を持っていない平均年齢50代の男性を対象に調査を行ったところ、セックスが月1回以下の男性は週2~3回の男性に比べて心臓疾患を発症するリスクが45%も高いことを突き止めている。またセックスによるオーガズムは、体内の炎症を抑えるなど“究極のアンチエイジングホルモン”と呼ばれるDHEAの血中濃度を5倍も高めることが分かっている。
他にも本書では、紅茶でカップルの会話を弾ませる、妻には「おい」ではなく「ねぇ」と呼びかけるなど、健康につながる69のヒントを解説。ただし、恋愛がいいならよそにも恋人をつくって楽しもうかという考えは厳禁だ。
イタリア・フローレンス大学の調査では、二股男は心臓麻痺が起こる確率が高いとの結果を明らかにしている。浮気相手の性欲や物欲を満足させることと妻への罪悪感が知らずにストレスとなり、交感神経を高ぶらせて血圧を上げ、心臓に負担をかけるためだとか。健康長寿を目指すなら、よこしまな考えを持つのはやめた方がよさそうだ。
(扶桑社 820円+税)