「絶対に休めない医師がやっている最強の体調管理」大谷義夫著
呼吸器内科医の著者は日々、風邪やインフルエンザに感染した患者の診察を行っているが、自身はこの30年余り、仕事を休まなければならないほどの病気にかかったことがないという。
本書では、人より何倍も体調を崩しやすい環境にいる医師が行っている、生活習慣の工夫を紹介している。
家から出て職場に着くまでに最も注意していることは、“余計な病原体をもらわない”ことだ。公共の場にあるさまざまなものに無意識のうちに触れることは、ウイルスに感染する確率を高めることになる。特に指先にウイルスが付着すると、顔を触ることによって接触感染につながりかねない。そこで、エレベーターのボタンは指を曲げて第2関節で押す、ドアはノブを握らず肘を使って開けるなど、ちょっとした工夫を習慣づけているという。
また、混んでいない電車ならば席に座らず人の少ない場所に立っているのがいい。人との間隔を1・5メートル以上あければ、飛沫(ひまつ)は飛んでこないためだ。新幹線では飛沫が前方へ向かって飛んでくることを考えると、進行方向の後ろの方の席を選ぶのがお勧めだという。
万が一、ウイルスを取り込んでも、早期に治してしまえば悪化させずに済む。著者は風邪をひいたかなと感じた時には、5分ほどプールで泳ぐようにしているそうだ。安静と真逆の行動だが、風邪のひき始めに軽い運動を行うと、免疫のために働くNK細胞が活性化されることが分かっている。水泳でなくても、15分程度のウオーキングなど軽い有酸素運動ならOKだ。風呂やサウナに入って体温を上げ、ウイルスの働きを抑えてやるのも有効だという。
正しいマスクの着け方や食事術なども紹介。この時期、ぜひ読んでおきたい。
(日経BP 1400円+税)