「甘夏とオリオン」増山実著

公開日: 更新日:

 寄席小屋、南條亭に向かう途中、弟子の甘夏に「今日は神農さんの祭りの日や」と言って電車を降りたまま、落語家の桂夏之助は姿を消した。いつまで経ってもその行方は知れない。

 甘夏が入門するきっかけになったのは、大学3年のとき、引っ越しの手伝いで、バイト料の他にご祝儀3000円をもらったことだった。落語に興味はなかったが、南條亭の前を通りかかったら入場料が3000円だったので、切符を買って木戸をくぐった。そこには子どもの頃、憧れていた「突き抜けたアホたち」がいたのだ。その日、「宿替え」を演じたのが夏之助だった。

 師匠に取り残された一門を守るため、居候している銭湯で寄席を開いた落語家の物語。

(KADOKAWA 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  3. 3

    参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

  4. 4

    NiziU再始動の最大戦略は「ビジュ変」…大幅バージョンアップの“逆輸入”和製K-POPで韓国ブレークなるか?

  5. 5

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  1. 6

    サザン桑田佳祐の食道がん闘病秘話と今も語り継がれる「いとしのユウコ」伝説

  2. 7

    我が専大松戸の新1年生は「面白い素材」がゴロゴロ、チームの停滞ムードに光明が差した

  3. 8

    逆風フジテレビゆえ小泉今日子「続・続・最後から二番目の恋」に集まる期待…厳しい船出か、3度目のブームか

  4. 9

    新沼謙治さんが語り尽くした「鳩」へのこだわり「夢は広々とした土地で飼って暮らすこと」

  5. 10

    石橋貴明のセクハラ疑惑は「夕やけニャンニャン」時代からの筋金入り!中居正広氏との「フジ類似事案」