「カメの甲羅はあばら骨」川崎悟司著
人間と動物の構造は大まか同じで、目や口、肘、脛など人間の体の各部につけられた名前に当たるものは動物の体にもある。
一方でキリンやゾウなどを思い浮かべれば分かるように、動物はそれぞれ、生活環境に適するように自分の体を進化させてきた。
本書は、動物たちの特徴的な体にスポットをあて、それにあたる人体の部分が同じようになったらどうなるのかをイラストで表現しながら、動物の秘密を解説してくれる面白イラスト動物図鑑である。
と、ここまで読めば、この不思議なタイトルの意味が一気に納得できるはず。カメの甲羅は、人間でいうところの肋骨(あばら骨)と背骨がくっついて板のようになったもので「骨甲板」と呼ばれる。ほとんどのカメが持つこうした骨でつくられた装甲は、他の動物には見られない構造であり、ワニやアルマジロなどの装甲は皮膚の中から発生した皮骨で出来ておりカメの甲羅とは根本的に異なるものだという。
人間もカメのように肩甲骨と骨盤が包み込まれるように肋骨が巨大化したらどうなるのか、出来上がった「カメ人間」のイラストは滑稽で、少々グロテスクだが、その他の解説はいたって真面目だ。
その他、胴体から真横に足が伸び這い歩きをするトカゲ、下アゴは地面に近いため、人間と逆に上アゴの方が開く構造のワニ、左右どちらにも270度まで首を回すことができるフクロウ、人間の5倍150度まで口を開くことができるカバ、中指に当たる第3指だけを残して1本指になってしまったウマなど。お馴染みの23種の動物たちの体の特殊な構造と進化の過程を、人体変形イラストを通して解説する。
ユニークに変形した人間のイラストは、子供にバカウケすること間違いなし。家族で楽しもう。
(SBクリエイティブ 1000円+税)