「帝都地下迷宮」中山七里著
鉄道オタクの公務員、小日向巧は、深夜、作業員を装ってひそかに廃駅となった地下鉄銀座線萬世橋駅に潜り込んだ。通気口からプラットホームに入り、神田に向かうと、点のような光源が現れ、「誰か、そこにいるの」と女の声がした。
それは遠城香澄という17歳の少女で、ここに住んでいるという。香澄の後についていくと、なんとこの廃駅には100人もの住人がいる町があった。実は彼らは敦賀市の高速増殖炉のウラン溶液漏れにより被曝(ひばく)し、色素性乾皮症になった人たちだった。
やがて住人の黒沢輝美の死体が発見される。住人の久ジイは、輝美は公安のスパイだと言い、死体の移動を小日向に相談する。
地下の世界を舞台にしたミステリー。
(PHP研究所 1600円+税)