「幸福感に関する生物学的随想」本庶佑著
2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した著者。表題作では、人間が幸福を感じる生物学的仕組みを考察。
生命持続に不可欠なのは、自己複製=子孫を残すこと、自律性=食物を取り身体活動状態を自分で維持すること、そして外界との適応性。この3要素が快感と結びついた生物が、進化の生存競争を生き残ってきた。こうした快感が幸福感の基礎となるが、真の幸福を得ることは難しい。快感は飽和し、欲望を満たし続けることは不可能だからだ。ではどうしたら永遠の幸福感を得ることができるのかを説いていく。
他にも、自らの半生や、授賞理由となった免疫抑制の阻害によるがん治療法について論じたノーベル賞受賞記念講演など6編を収録。
(祥伝社 920円+税)