「ハイパー ハードボイルド グルメリポート」上出遼平著
リベリアの市場のはずれで、店先に得体の知れない黒く干からびた肉が置かれていた。頭からつま先まで縦に真っ二つに割られた小型の猿だった。野生獣の肉の売買は禁止されているのに、アルマジロやコウモリまで並ぶ。それらの肉は、致死率90%にも上るエボラ出血熱のウイルスを媒介するといわれる。スラムに住むジェシカが鍋でオクラの粥を煮ていたが、中には巨大な恐竜のようなパイプフィッシュが身もほぐさずに入れられていた。
ロシアで、「シベリアのイエス」という宗教の信者の食事は、肉も小麦も使わない。インドネシアからテンペ菌を取り寄せて作るテンペや、キヌアの揚げ焼きという手のかかるものだった。
人間の〈食〉の多様さをリポートした人気番組を書籍化。
(朝日新聞出版 1800円+税)