「新種の発見」岡西政典著
生物の新種発見は、実は珍しいことではなく、1年に2万種近くもあるという。現在、地球上で名前が付けられている生物は180万種以上。未知種は少なくともその倍以上、人によっては1億種と見積もる専門家もおり、生物の多様性は推定すらできないそうだ。
そもそも分類学とは、未知の生物に名前を与え、系統樹のなかに位置づけ、科学の対象へと引き上げる学問分野。分類されることで私たちは新たな生物を認識できるようになる。
本書は、その知られざる動物分類学の世界を案内してくれる科学テキスト。著者が発見したテヅルモヅルの新種などを例に、新種発見のプロセスを紹介するなど分類学の基本を解説。さらに最新の研究成果を交えながら各学者たちの取り組みや、分類学の未来を語る。
(中央公論新社 860円+税)