「ボケる食 ボケない食」白澤卓二著
2025年までに、日本国内で700万人に達するといわれる認知症患者。最新の研究では、“何を食べ、何を食べないか”が、良くも悪くも認知症に大きな影響を与えることが分かってきたと、加齢制御医学の専門家である著者は指摘している。
認知症の7割を占めるアルツハイマー型の要因は、アミロイドβというタンパク質。これが蓄積されてアミロイド斑が形成されると認知機能の低下が進むが、その形成には神経細胞の炎症が関与しているという。炎症とは、免疫細胞が異物を攻撃する際に起こる大切な防御反応だが、やっかいなのは、ジワジワと続く慢性的な炎症。加齢や生活習慣が原因で起こり、動脈硬化や糖尿病、そして、認知症の発症に関わると考えられているのだ。
ただし、慢性炎症を抑えることは可能で、炎症を促す物質を体に入れず、炎症を抑える物質を取り入れればよいと本書。炎症を促す物質の代表格としては糖質とオメガ6系脂肪酸が挙げられるが、ファストフードやスナック菓子、インスタントラーメンにドーナツ、甘い缶コーヒーなど、現代人が口にしやすい食品にたっぷりと含まれているから要注意だ。
それでは、炎症を抑えるにはどのような食品を取ればいいのか。例えば、ブロッコリーだ。とくにインドールという物質が高い抗炎症作用を持っている。また、芽に含まれているスルフォラファンも抗炎症作用が非常に高いため、含有量が多いスプラウトも積極的に取りたい。ココナツオイルやショウガ、青魚に赤ワインなども、神経細胞の炎症を抑えて脳の老化を食い止めるのに役立つという。
アミロイドβの蓄積は40代からひそかに進行する。今日からでも食生活を見直したい。
(PHP研究所 760円+税)