「人殺しの血」草凪優著
15歳で故郷を飛び出し、キャバクラの経営者に成り上がった高柳は、その夜、充希にプロポーズする。3カ月前、高柳は長い間シャッターが閉まっていた自宅近くのパン屋が営業しているのに気づき、パンを買う。充希が父親のパン屋を引き継ぎ再開したのだ。
高柳は、周囲の冷たい視線から充希の父親・栄一が実は人殺しだと知る。2年前、栄一は自宅に遊びに来ていた充希の友人を殺したらしい。しかし、栄一が事件直後に自殺したので動機はいまだに分かっていない。
高柳には周囲の嫌がらせに耐える充希の気持ちがよく分かった。高柳の父親も人殺しだったからだ。プロポーズを受け入れた充希との帰り道、2人は暴漢に襲われ拉致されそうになる。
正体不明の黒幕からの逃避行を描くノワール。
(祥伝社 750円+税)