「全国厄除け郷土玩具」中村浩訳著
年を越えてもコロナの勢いは収まる気配もなく、まだまだウィズコロナの生活が続きそうだ。
疫病退散に御利益があるとされた妖怪「アマビエ」グッズが流行するなど、令和の世になっても信心深い日本人だが、今年は初詣もままならなかったという人も多いのでは。
そこで、今年初の本欄では、厄除けとして古くから親しまれてきた郷土玩具や各地の神社やお寺のお守りなどの縁起物を紹介するカラー図鑑をおすすめする。
福島県の郷土玩具「赤べこ」は、実は疱瘡(天然痘)から我が子を守るためのお守り。赤いものを身近に置くと疱瘡を避けてくれたり、取り込んでくれるという中国の言い伝えに倣ったようだ。
赤だけでなく黄色にも御利益があるそうだ。宇都宮の「黄鮒」は、川で釣った大きな黄色い鮒を病人に食べさせたら疱瘡が治ったという昔話にちなみ、玄関先に下げて病気除けにする。
東京にも郷土玩具はある。浅草土産だった「笊冠り犬」は、竹でできた目笊を犬がかぶっている。子どもの鼻づまりの効能があるというこの玩具、竹冠に犬と書いて「笑」という漢字に見立てた江戸っ子のシャレだそうだ。
こうした「疫病退散」の他にも、泥棒除けになるという秋田県湯沢のしんこ細工の「犬っこ」などの「厄除消除」や、愛媛県宇和島の「牛鬼(ブーヤレ)」をはじめとする「悪霊退散」、そしてかつて家を新築する際に便器の下に埋めて家内安全や商売繁盛、健康長寿を祈ったという男女一組の土人形「石川県金沢の便所の神サン」などの「家内安全」まで。それぞれに御利益がある各地の縁起物186品を紹介。
入手方法も記されているので、手に入れて身近に置けば、少しは心穏やかに過ごせるかも。
(誠文堂新光社 1800円+税)