「うかれ女島(めじま)」花房観音著

公開日: 更新日:

 32歳の大和は、母親の死を伝える手紙を4人の女性に送る。大和の母・幸子は真理亜という源氏名の娼婦だった。父の死後、飛田遊郭で働き始めた母は、その後、大和を父方の実家に預けて「島」に渡り、晩年は女衒(ぜげん)として生きていたらしい。本土から船で5分ほどのその島は、売春島と呼ばれていた。

 3カ月前、海に落ち溺死した母の死は事故死として処理された。母を憎み、長く音信不通だった大和だが、供養のために母が残したメモに従って手紙を書いたのだ。メモには「会わなければならない。もしも、会えないまま私が死んだら、この女たちに私が死んだことを伝えて欲しい」と4人の名前と住所が書かれていたのだ。

 大和と幸子、手紙を受け取った女たちの人生が交錯する長編ミステリー。

(新潮社 670円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動