「キンモクセイ」今野敏著
法務官僚が遺体で発見された。監視カメラの映像から被疑者が外国人と分かり、警視庁の公安部外事課が動き出し、警察庁警備局の隼瀬らが専任チームを組み、情報分析にあたる。
被害者の神谷は、プロが使う22口径の銃で額を撃ち抜かれていた。しかし、なぜか被疑者が特定されぬまま捜査本部は縮小し、専任チームも解散に。先輩の水木は独自に調査を続けるというが、隼瀬は指示に逆らう気はない。しかし、気になって外務省や防衛省に勤務する同期の官僚らから情報収集をすると、神谷は在日米軍の地位協定について話し合う日米合同委員会に関わっていたらしい。さらに神谷が死の前日、同僚に「キンモクセイ」と言い残していたことが分かる。
名手が描く警察インテリジェンス小説。
(朝日新聞出版 950円+税)