「帰去来」大沢在昌著
都内で連続殺人事件が発生。手口から20年前の「ナイトハンター」事件の模倣犯と思われた。おとり捜査のため公園のベンチに座っていた刑事・由子は、雷雨に紛れて現れた犯人に首を絞められ、死を覚悟する。
数刻後、見知らぬ部屋で覚醒した由子の前に元恋人の里貴が現れる。しかし、話がかみ合わない。今は光和27年で、由子は東京市警察本部に8人しかいない警視、警部補の里貴が秘書官だという。由子の知っている里貴は会社員だ。どうやら違う世界に紛れ込んだようで、この世界の由子は優秀な警視らしい。
里貴の案内で街に出た由子は、闇市場で犯罪組織を仕切る女会長ツルギと対面。彼女の言葉からこの世界の由子がツルギと密約を交わしていたことに気づく。
作家デビュー40周年記念作のノベルズ版。
(朝日新聞出版 1200円+税)