「男の民俗学大全」遠藤ケイ著
社会の変化にあらがいながら、日本の伝統文化や手仕事の技を守り続けている男たちを取材したイラストブック。
小澤忠一さん(64歳=取材時)は、千葉県銚子で半世紀以上、大漁旗作り一筋に生きてきた。鮮やかな原色で染め上げられた大漁旗の色や絵柄は漁師の気骨そのもの。威勢のいい大漁旗の図柄は船主や網元が配る「万祝(まいわい)」という漁師の晴れ着がもとになっている。
しかし、そうした江戸時代以来の習慣は戦前に消え、万祝を作る人もいなくなった。房総九十九里は万祝発祥の地だという。そうした歴史や由来などにも触れながら氏の仕事に密着して紹介。
ほか、刺青師やマタギ、炭焼き窯職人など99種。自分の仕事に誇りと命を懸ける男たちの「奥義」に迫る。
(山と溪谷社 2090円)