「結(ゆい)」大島真寿美著

公開日: 更新日:

 京町堀の造り酒屋、松屋の倅(せがれ)、平三郎は、評判になっている操浄瑠璃(あやつりじょうるり)の「妹背山婦女庭訓」を見に、芝居小屋に足を踏み入れる。夢中になって、結局五遍も見た。――舞台の上でしか見ることのできないものがある。父親が死んで半年たった頃、老番頭に意見されて、「つぶれる前に、店、畳もか」と造り酒屋をやめ、店に父が集めた骨董を並べて寂物屋に衣替えする。嫁をもらった後も芝居道楽を続けていたが、嫁に、趣味で描いている絵を扇絵にしてはどうかと勧められる。店先に並べてみたら、売れた。ある日、遊び仲間の狂歌作者、銅脈が、役者絵の本を出すという話を持ち込む。

 人形浄瑠璃に狂った人びとを描く時代小説。

(文藝春秋 1870円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭