「とにもかくにもごはん」小野寺史宜著
月2回、午後5時に開店する「クロード子ども食堂」。貧困状態にある子どもたちに無料で食事を提供している。クロードを開いた松井波子は夫の隆大とうまくいっていなかった。
ある日、帰宅途中の隆大を見かけて後を追うと、隆大は児童公園に入り、ベンチでビールを飲み始めた。波子が声をかけると、隆大は、裏のアパートに住む小学生の男の子がここで菓子パンを食べていたと言う。電気代が払えず、電気を止められた自宅より明るいからと。一度でもうちで飯を食わせてやればよかったと隆大は言ったが、その5日後、隆大は交通事故で死んだ。隆大の言葉に動かされて、波子は子ども食堂を始める。
子ども食堂に集まる人々の心温まる物語。
(講談社 1705円)