「哲さんの声が聞こえる」加藤登紀子著
中村哲がアフガニスタンの診療所に赴任するきっかけになったのは、1978年、ヒンドゥクシュ山脈のティリチ・ミールに登る登山隊に参加したことだ。その途上で診療活動をしたが、増え続ける患者に治療が追いつかない。山の圧倒的な美しさと、病院がなく見捨てられた人びとへの思いから、その後、たびたびパキスタンを訪れる。
8年後、パキスタン北部の難民キャンプでの巡回診療などを経て、アフガニスタンの山岳部に診療所を開設。だが、砂漠化が進むアフガニスタンの再生には農村の回復が必要だと考えた中村は、白衣を脱ぎ、用水路の建設のために現場の陣頭指揮に立つ。
ほろ酔い募金で中村哲を支援した著者が中村の思いを伝える一冊。
(合同出版 1870円)