「ミュージアムグッズのチカラ」大澤夏美著
博物館や美術館で展示を見た後、出口近くで来訪者を待ち構えるミュージアムショップ。ついつい財布の紐がゆるくなる、ここでしか手に入らない品々が並んでいる。
そんなミュージアムグッズに魅了され、著者は「ミュージアムグッズやショップは、博物館のエンドロール」だという。
ミュージアムグッズは「博物館での思い出を持ち帰るための大切なツールであり、博物館の社会教育施設としての使命を伝える手段」でもある。博物館が映画そのものなら、ミュージアムグッズやショップはそれを総括するエンドロールにあたるというのだ。
本書は、全国各地の博物館や美術館などの魅惑のミュージアムグッズを紹介するガイドブック。
県内に多数の古墳がある「群馬県立歴史博物館」のイチオシのミュージアムグッズは「発掘&修復可能なハニワクッキー」。
土に見立てた砂糖の中に埋もれた埴輪形のクッキーを付属のミニはけで発掘。さらにチョコペンで欠けた埴輪を修復するという愉快なセット。
一方、「奈良文化財研究所 飛鳥資料館」のおすすめは所蔵品の国宝の木簡がプリントされた「国宝木簡てぬぐい」。木簡が普段保管されている桐の引き出しごと再現されている。手にした人が「引き出しを開けた気分や、保管している木簡を取り出した気分を味わえたらいいな」という施設関係者の思いが詰まった逸品だ。
こうしたグッズの制作秘話などを関係者に聞くインタビューも収録。
他にも、「A5ランク前沢牛肉一筆箋」(奥州市牛の博物館)や、「リアル年縞ネクタイ」(福井県年縞博物館)や、「瀬戸焼新幹線 922形ドクターイエロー」(リニア・鉄道館)など、見ているだけで楽しくなるグッズばかり。
まずは手始めに近くの博物館から訪ねてみよう。
(図書刊行会 1980円)