「日本迷信集」今野圓輔著
お馴染みの「茶柱が立つと縁起がいい」。最近は午後でも夜でも、茶柱が立つと喜ぶが、かつては朝茶の茶柱だけを気にしていたという。それは新年の始まりに、いろいろな縁起を気にするのと同じで、一日の始まりに身の回りに起こるさまざまな現象を注意深く見守って、何かその日の運命を予知できるような兆しがないかと、観察しながら暮らしていた名残なのだという。
さらに茶を飲む習慣の始まりや、かつて結納でお茶を交換する習慣があったことなど、一つの迷信からさまざまな話題へと展開。その他、女人禁制などのタブーや性にまつわる信仰、霊怪現象、そして迷信療法など、日本各地に今も残る迷信について、民俗学の視点から解説したテキスト。
(河出書房新社 990円)