「市川雷蔵と勝新太郎」中川右介著
1950年から60年代に映画界のスターだった市川雷蔵と勝新太郎は、以前は歌舞伎の世界にいた。
歌舞伎は世襲と門閥で配役が決まるので、関西歌舞伎の役者だった市川は脇役、端役ばかり。勝は杵屋勝丸として、歌舞伎舞踊で音曲を担当していた。
そんな2人に目を付けたのが大映社長、永田雅一だった。大映は時代劇映画を作ろうとしていたが、時代劇を演じられる俳優が少ない。そこで市川と勝に声をかけて1954年に大映に迎えた。当時、歌舞伎の世界では映画は「泥芝居」として低く見られていたが、市川は「眠狂四郎」、勝は「座頭市」シリーズなどで、大スターとなる。
大映時代を支えた2大スターの人生を描く。
(KADOKAWA 2860円)