「タイガー・モリと呼ばれた男」早瀬利之著
森寅雄の曽祖父、森要蔵は千葉道場四天王のひとりと呼ばれた剣士だった。寅雄は2歳の頃から乳母に背負われて、後に講談社の社長となる伯父の野間清治が開いていた野間道場をのぞき、5歳で竹刀を持たされた。
1937年、剣道普及のため、渡米。ハワイやロサンゼルスで剣道を教えるかたわら、南カリフォルニア大でフェンシングをマスターし、カリフォルニア大会で優勝する。1940年、東京で開かれる予定だったオリンピックで、森寅雄は日の丸を揚げることを夢みていた。第2次大戦でその夢はついえたが、1960年のローマ大会で米国フェンシングチームを率いて出場する。
剣道を通して日米の懸け橋となった剣士の評伝。
(芙蓉書房出版 2640円)