「介護する人される人 心に届く介護力」佐藤典子著
バイクの事故で脊椎を損傷し、寝たきりになったSさん。自宅で介護を受けていたが、「何にもできない。もう死んでしまいたい」と訴える。
長男の嫁のK子さんは、Sさんが「戦地から無事帰還できたときに、故郷の満開の桜を見て、初めて生きのびたんだなあとつくづくうれしさが込みあげてきたもんだよ」と言ったのを思い出し、リハビリの目標を「座れる」ではなく「近くの公園に花見に行く」にした。
Sさんは気力を取り戻してリハビリに励み、3カ月後、近くの公園に花見に出かけた。このときには車椅子に30分くらい座れるようになっていた。
介護する人もされる人も充足感を感じられるケアの実例集。
(青萠堂 1100円)