「最期の声」山川徹著
2016年に熊本地震が起きたとき、心臓疾患がある4歳の宮崎花梨は、市内の病院が倒壊する恐れがあるため、救急車で福岡の九大病院に転院することになった。救急車に輸液ポンプは積めたが、人工呼吸器を積むスペースがない。主治医が手動ポンプで酸素を送りながら搬送したが力及ばず、花梨は5日後に死亡した。ほかにも災害関連の自殺、避難中のエコノミークラス症候群による死亡など、災害関連死は少なくない。
ところが、21年、災害関連の記録に関する議事録が、経費と人手不足のため福島市、郡山市など6市村で廃棄されることになった。災害関連死した人たちの「最期の声」が消されようとしている。
災害支援について、10年かけて取材したノンフィクション。
(KADOKAWA 1870円)