「我々は、みな孤独である」貴志祐介著
探偵の茶畑は、水ビジネスで成功したクライアントの正木から、前世で自分を殺した人間を突き止めて欲しいとの依頼を受ける。あまりに突拍子もない依頼だけに断りたいが、元社員の北川に会社の金を持ち逃げされたばかりの茶畑は、報酬に目がくらんで引き受けてしまう。
正木が語る前世の記憶によると、とある村の百姓だった正木は隣村との水争いの最中、何者かに首を切られ殺されたという。頭脳明晰な正木がなぜ今頃になって前世に興味を抱いたのか。不信を抱いた茶畑が調べると、正木が人の前世を見通せると称する占い師の天眼院浄明と会っていたことが分かる。一方で茶畑は、正木の会社で3カ月前に情報漏洩事件が起きていたことも知る。
前世をテーマにした長編ミステリー。
(角川春樹事務所 814円)