「金網の向こう」向山貴彦著 たかしまてつを絵
著者はアメリカで生まれ、両親の都合で小学校4年のとき、日本に帰国。英語を忘れないようにと米軍基地内の小学校に入れられた。
同級生は在日米軍人の息子、娘ばかり。ラテン系の中学生、ロドリゲスにナイフを突きつけられ、金をもってこないと殺すと脅された。電話代の30円しかないので階段の下で震えていたら、ジェフが、弁当を半分くれたらここのルールを教えてやると言う。
ジェフがロドリゲスに勘弁してやってくれよと言って20円渡した。残りの10円はジェフのポケットの中だ。次の日からジェフと一緒に行動するようになったが、弁当のソーセージを取られる。ジェフの昼食はいつもカップヌードルだ。噂では義母に虐げられているらしい。
多民族の生徒が通う小学校で、知恵と勇気でトラブルを乗り越えた著者の少年期をつづる。
(角川春樹事務所 1430円)