「金春屋(こんぱるや)ゴメス」西條奈加著
30年前、19世紀初頭の江戸を忠実に再現した元老人タウンが独立国家を宣言して鎖国。大学2年の辰次郎は、余命半年を宣告され入院中の父親に頼まれ、今は日本の属領となっている江戸に入国する。両親の離婚後、母の実家で育った辰次郎は、父と10年ぶりに再会したばかりだ。
実は、今は亡き母と父親はかつて江戸で暮らしており、辰次郎も江戸生まれだが、当時の記憶は全くない。江戸に入国した辰次郎は飯屋金春屋の裏にある長崎奉行出張所の奉行・馬込播磨守のもとで働くことに。怪異な巨体で極悪非道、誰もが恐れる奉行の馬込は、寿々という名の女だった。数日後、辰次郎は奉行の部下・十助に連れられ生まれ故郷に連れていかれる。
人気作家のデビュー作にして日本ファンタジーノベル大賞受賞作。
(新潮社 737円)