「ジャンパーを着て四十年」今和次郎著
世相や風俗を分析する「考現学」の提唱者による半世紀前の著書の復刻。
大正12年の関東大震災で被災して以来、40年間、どんな場所にもジャンパー姿で出かけるという著者。世の中の通念を振り回す家族の嫌な顔にもめげず、大学の教壇にもその姿で立ち続け、ジャンパー先生と呼ばれるまでに。教え子の結婚式の仲人、皇室に招かれての面談のときもジャンパーを貫く。アメリカ大使主催のパーティーに招待されたときは、さすがに躊躇したが、エチケットの実験とアメリカの建国精神が生きているかを確かめるためにいつもの姿で出かけてみる。
ほかにも礼儀作法や伝統としての和装、そしてユニホームなどを俎上に、独自のファッション論を展開する。
(筑摩書房 946円)