「『昭和鹿鳴館』と占領下の日本」山田邦紀、坂本俊夫著
終戦まもない8月28日、連合国軍最高司令官のマッカーサーが厚木飛行場に来ることになった。日本の戦闘機の武装解除が必要だが、司令を務めていた小園安名大佐は徹底抗戦の構えであったため、進駐軍と武力衝突しかねない。
そこで軍部は、重量物運搬業者、大安組の社長、安藤明に厚木飛行場の片付けを依頼した。安藤は500万円という大金でこの仕事を請け負った。8月25日の午後6時から雨の中、作業を開始。小園反乱軍の攻撃もあったが、翌朝までに無事、作業を終えた。
後に安藤は天皇制を守るために米日福祉協会を設立。さらに、「昭和鹿鳴館」と呼ばれた大安クラブをつくり、GHQの将校たちを招待して、天皇制の必要性を説明した。だが、大安組にMPが捜査に入り、安藤は贈賄容疑で逮捕される。
旧軍人やフィクサーなどが暗躍した戦後の混乱期を描く。
(現代書館 2640円)