「第三次世界大戦はもう始まっている」エマニュエル・トッド著 大野舞訳
現代最高の知性と称される歴史家がロシアによるウクライナ侵攻の真相を読み解いたリポート。
そもそもウクライナ問題はソ連崩壊後の国境の修正という「ローカルな問題」で、ロシアは1990年代に行うべきだった国境の修正をいま試みているという。
しかし、ロシアが対抗する帝国となるのを防ぐためにウクライナを「武装化」してNATOの事実上の加盟国にしたアメリカの政策が、ウクライナ問題をローカルな問題からグローバル化=世界戦争化してしまったと指摘。そうした状況から、我々はすでに第三次世界大戦に突入したと著者は説く。
アメリカは、支援することでウクライナを破壊していると批判する著者が、この戦争がなぜ始まりどこに向かおうとしているのかを考察する。
(文藝春秋 858円)