公開日: 更新日:

 近年、東洋史の研究者によって、秀吉の朝鮮出兵に関する中国と朝鮮側の史料が次々と見いだされ、新たな事実が明らかになりつつあるという。そのひとつが、朝鮮出兵のさなか、薩摩藩の島津氏と明が連絡を取り合い、秀吉を倒す計画が進められ、これに家康が関与していた可能性が高いことが分かったというのだ。

 事実であれば、文禄の役ではめぼしい活躍がなかった島津勢が、慶長の役では縦横無尽の大活躍ができたことの説明がつく。さらに西軍として参戦した関ケ原の合戦での敗北後の凄まじい撤退ぶり、そして戦後には他の西軍の武将に厳しい処分を下されたのとは対照的に所領を安堵され、その後も実質的加増や徳川宗家以外は許されない諱(いみな)の「家」の字を島津忠恒に与え家久に改名させるなど、家康の異常な厚遇ぶりの理由も分かるという。

 新史料をもとに、朝鮮出兵時の島津の動き、そして徳川との関係を見直し、戦国時代の歴史を塗り替えるスクープ考証。

(新潮社 858円)

【連載】大河ドラマで注目!徳川家康がまるっと分かる本特集

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕がプロ野球歴代3位「年間147打点」を叩き出した舞台裏…満塁打率6割、走者なしだと.225

  2. 2

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  3. 3

    “玉の輿”大江麻理子アナに嫉妬の嵐「バラエティーに専念を」

  4. 4

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  5. 5

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  1. 6

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 7

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  3. 8

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 9

    大江麻理子アナはテレ東辞めても経済的にはへっちゃら?「夫婦で資産100億円」の超セレブ生活

  5. 10

    裏金のキーマンに「出てくるな」と旧安倍派幹部が“脅し鬼電”…参考人招致ドタキャンに自民内部からも異論噴出