「徳川家康の決断」本多隆成著
家康の波瀾万丈の人生を、大敗を喫しながら、信玄の病状悪化で九死に一生を得た「三方ケ原の合戦」など、「人生のターニングポイント」に注目してたどる歴史テキスト。
竹千代(のちの家康)が生まれた天文11(1542)年当時の松平家は、今川氏の傘下でかろうじて家名を維持する弱小の国衆だった。しかし、新たな研究によって、従来、死ぬまで今川氏の配下にあったといわれていた父親の広忠が、一時、織田方に降伏していたことが分かったという。それに伴い、竹千代についても今川方への人質として駿府に送られる途中に拉致され織田方へ送られたという通説が覆り、降伏した広忠によって当初から人質として織田方に差し出されていたことが明らかになったそうだ。
こうした最新の研究成果を盛り込みながら、最初の大きな岐路となった「桶狭間の合戦」にはじまり、嫡男信康の処断から徳川公儀を確立した「大坂の陣」まで家康が下した10の選択を解説しながらその生涯をたどる。
(中央公論新社 990円)