「一生ボケない習慣」松原英多著
久しぶりに会った高齢の父親が、料理にハマっているというから驚いた。若い頃は料理の“り”の字もしなかったのにどんな心境の変化かと尋ねたら、ボケ防止に役立つのだと本書を見せてくれた。御年91歳で現役医師の著者が、日々実践している習慣が紹介されている。
料理は、何をどう作るか決め、必要な食材を買いそろえ、手順通りに作るという高度で知的な作業の側面があり、脳の血流量が増加して認知症予防にうってつけだそうだ。
自分自身はまだ認知症を心配するほどの年ではない(と思う)が、早めの対策をしていて損はない。手軽なのが脳の血行促進効果の高い「噛む」ことで、咀嚼(そしゃく)の回数を増やすと短期記憶が改善されたという研究結果もあるそうだ。ただし、軟らかい食べ物をペチャペチャ噛んでもダメ。歯が欠けそうなほど硬いものを噛む必要はないが、かまぼこ以上の硬さのものを噛むのがよいという。
そこで、毎日の食事にかまぼこ、コンニャク、レンコン、ゴボウなどを取り入れるようにした。肉料理も、ハンバーグのような軟らかいものではなく赤身のステーキを選んでいる。確かに、よく噛む食事の後は脳がスッキリとして覚醒している感覚がある。血行が良くなっている証拠だろうか。
意識して下半身の筋肉を動かすのもいいらしい。体の筋肉の3分の2は下半身に集まっており、意識して動かすとポンプ機能で上半身に血液が巡りやすくなり、脳にも新鮮な血液が送り込まれる。理想はスクワット運動だが、30分に1回立ち上がり少し歩くだけでもいいというので、デスクワーク中は必ず定期的に立ち上がるようにしている。
脳の老いを食い止めるために続けてみよう。 〈浩〉
(ダイヤモンド社 1485円)