「夏井いつきの365日季語手帖」 夏井いつき著

公開日: 更新日:

 俳句ブームといわれて久しく、一句詠んでみたいと常々思っていた。そこで、テレビでもお馴染みの著者による本書を入手してみた。1月1日から12月31日まで、その時季に合った1日1季語と、その季語を使った一句が紹介されている。

 実用的なのが、1週間ごとに俳句を書き込むスペースが設けられているところだ。毎週詠むことが習慣になれば、1年後にはかなりの詠み手になれるのでは!? 実は、本書に掲載されている365句は、与謝蕪村や高浜虚子ら有名な俳人の句もあるが、およそ半分は本書のために一般から投句された作品から選ばれている。来年度版の掲載を夢見て、さっそく俳句づくりの開始だ。

 それにしても、季語とはこれほどさまざまあるのかと感心してしまう。1月は三が日に訪問する「賀客」や初売りで買い物する「買初」などの正月らしいものから、寒さで血行が悪くなり手足に亀裂が生じた「胼」などという季語もある。俳句はまったくの初心者だが、テーブルに充電の切れたアップルウオッチがあったのでこれを題材に、何となく格好良くて気に入った季語を組み合わせて一句詠んでみた。

「虎落笛 電池の切れた 腕時計」

 どうだろう。「虎落笛」とは寒風が電線にあたって鳴るぴょうぴょうという音を表す。これと時の止まった腕時計を組み合わせて、もの悲しげな俳句が詠めた! とひとり悦に入る。

 ページをめくっていくと季節が変わっていくのを感じ取れるのも楽しい。2月には立春を過ぎてもまだ使われている「春炬燵」などという季語もある。春が近づいてもなかなか動き出せない自分と掛け合わせて「春炬燵 電池の切れた 腕時計」もいいのでは!

 これはハマりそうだ。 〈浩〉

(レゾンクリエイト 1650円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…