「透明な夜の香り」千早茜著
「透明な夜の香り」千早茜著
一香は、仕事をやめ、アパートにひきこもっていたが貯金も底をつき、スーパーの掲示板で見つけた家事手伝いの求人に応募する。
面接のため教えられた住所を訪ねると、大きな洋館が立っていた。雇い主の朔は、一香が家にひきこもっていたことを言い当てる。聞くとにおいで分かるという。異常なまでにごくわずかなにおいも嗅ぎ分けられる朔は、客の要望によってあらゆる香りを作り出すことができるオーダーメードの調香師だった。
一香が働き始めて数日後、朔の仕事仲間で興信所を営む新城の紹介で藤崎という女が、亡き夫のにおいを調香して欲しいと依頼に来る。彼女のにおいで嘘に気づいた朔は、翌日、新城と一香を伴い都心に向かう。
類いまれなる嗅覚を持つがゆえに苦悩する朔を主人公にした長編小説。 (集英社 704円)