「白鷺烏近 なんぎ解決帖」田中啓文著
「白鷺烏近 なんぎ解決帖」田中啓文著
大坂・土佐堀川の淀屋橋のたもとに浮かぶ屋形船。その船に住む白鷺烏近を、泉州岸和田5万3000石、岡部家の中老、蚊取源五郎が訪ねてきた。烏近は岡部美濃守の小姓だったが、美濃守の娘、小夜姫と恋仲だったのがばれて親から勘当されたのだ。
その後、岡部家で世継ぎ問題が起きたとき、万泉住職が、今の岡部家は逆さまごとが横行して、川の水が下流から上流に流れるありさまだと難じて美濃守を激高させた。川が下流から遡るさまを見せなければ、住職の命はないと。蚊取に頼まれた烏近は、水を操るのにたけた水芸の女芸人のもとへ……。(「川の流れを逆にしろ」)
屋形船の住人が頓知で難題を解決する5編の時代ミステリー。 (光文社 2145円)