「播磨国妖綺譚」上田早夕里著
「播磨国妖綺譚」上田早夕里著
1441年の春、法師陰陽師として人々を救っている薬師の律秀と僧の呂秀兄弟を、3人の男が訪ねてきた。川で砂鉄を拾っている男たちが後ろから突き飛ばされ、振り向いても誰もいないという奇妙な出来事が続いているという。
ある日、対岸の河原で旅装束の僧がまぶたのない目でにらみつけ、耳まで裂けた口から威嚇するような声を発しているのを見た。呂秀は、もののけが何かを伝えようとしているのではと気づき、蘆屋道満に仕えた式神、「あきつ鬼」を呼び出す。あきつ鬼を連れて川に行くと、対岸には僧衣の者たちが杖を持って並んでいた。
陰陽師兄弟がさまざまな妖怪に挑む妖綺譚6編。
(文藝春秋 1980円)