「税という社会の仕組み」諸富徹著
「税という社会の仕組み」諸富徹著
日本人は税について、お上(政府)が市民に対して、一方的に負担を課すというイメージが強い。
しかし、欧州では、市民革命によって近代国家が生まれたプロセスから全く逆の理解をされている。市民は税を負担する者としてその使途に対して発言権を持ち、政府が自分たちの意図通り税収を使うか監視する権限を持っていると考えている。もし政府が自分たちの意図通りに動かないのであれば、政府を取り換える権利「革命権」も留保している。
このように納税とは、本来、義務ではなく納税者がその使途に発言を行い改善を求める「権利」を獲得するプロセスだと理解すべきだという。
そもそも税金とは何か、そしてどのように税金が生まれ発展してきたのか、その歴史と思想を解説しながら税金の本質に迫る。 (筑摩書房 990円)