「平安時代の男の日記」倉本一宏著
「平安時代の男の日記」倉本一宏著
「枕草子」や「蜻蛉日記」など、平安時代の女性の日記は仮名で書かれている。日記の著者は嫡妻ではなく妾(めかけ)であることが多いので、彼女たちの日記には天皇や貴族の行う政務や儀式に関わる記述はほとんどない。それに比べて男性の日記は、儀式や政務を伝えるために和風の漢文で書いた古記録である。
例えば、右大臣や左大臣を務めた藤原道長は、「御堂関白記」や、日記の「御堂御記抄(みどうぎょきしょう)」などを書いているが、これらには摂関政治の全盛期が記録されている。例えば、武蔵守が道長に「馬六疋」を献上したなどの記述がある。
古記録として重視された「男の日記」を、古記録学の研究者が解説する。
(KADOKAWA 2200円)