昭和最後の「完全試合」今井雄太郎さんは食堂手伝いで大忙し
“雄太郎伝説”が誕生したのは78年5月だ。
「それまでは二軍ではいい球を投げるのに、一軍では緊張のあまり、自分の投球ができない悪循環にはまってた。それでマウンドに上がる前、投手コーチだった梶本隆夫さんに“これが最後の先発のチャンスだから”と紙コップのビールを飲まされたんですわ。と、アルコールのせいか、その日は強気、強気のピッチングで勝つことができた」
試合後、上田利治監督がビールを飲ませたことをしゃべり、翌日のスポーツ紙に大々的に報道されたのだった。
「日本シリーズでも飲んで投げたことがあるよ。ただ、断っておくけど、自分から飲んだことは一度もない。監督やコーチが“飲んでから行け”とゆうもんだから、ハハハ」
同じ78年8月31日には史上14人目の完全試合を達成した。
「ロッテ戦で、村田兆治さんが相手投手だった。最後の打者は投手ゴロ。緊張してボールが指から離れんような感覚は今でもはっきり覚えとる」