小さんは訥々としゃべっているようで最後までちゃんと計算
先代小さんは古典落語の名人として人間国宝になったが、実は新作落語も演じていた。
「山田洋次監督の『男はつらいよ・奮闘篇』に出演したのがご縁で親しくなり、監督がつくって下さったんです。『真二つ』『頓馬の使者』『目玉』の3席で、『真二つ』では芸術祭奨励賞を頂いてます」
山田監督は落語に造詣が深いことでも知られている。
「監督とは何度も打ち合わせをして、話し合いながらつくり上げたそうです。新作落語にも意欲的だったんですね」
そういえば、小さんは古典落語の中に現代的なくすぐりを入れていた。
「『かぼちゃ屋』で与太郎が『ライスカレーはさじで食う』と言ったり、『長屋の花見』にサイダーの口金が出てきたり、当時としては斬新なくすぐりですよね」
花緑が古典に現代的なくすぐりを入れたり、「同時代落語」と称する新作を演じるのも、小さんのDNAを受け継いだからなのだろう。
「本来、新作は自分で書いて演じるものだと思います。でも、僕はそれができない。だったら作家に頼むしかない」